タイヤには、空気を入れる代わりに、窒素を充填できます。この方法を採用するタイヤ販売店や整備工場が増えており、ドライブ好きな人たちの間で人気を集めています。では、窒素ガスのメリットは何でしょうか?レーシングカー特有のテクニックでしょうか?
コンチネンタルは、長く性能を発揮できるタイヤを設計製造しています。しかし、タイヤをチェックする責任はクルマのオーナーにあります。長い間タイヤをケアすためには、タイヤ空気圧を適正に保つことが重要です。
タイヤの空気圧は、カーメーカーによって指定されています。車両指定空気圧は、クルマのオーナーズマニュアルまたは運転席側のドアの内側に記載されています。コンチネンタルでは、月に1回はタイヤの空気圧をチェックすることをおすすめしています。特に長距離ドライブ前の点検は重要です。
では、窒素ガスはどのような役割を果たすのでしょうか。気体には熱を加えると膨張し、冷やすと収縮するという性質があります。タイヤの中の気体ではこの性質が顕著に表れます。
気温が上下するとタイヤの空気圧は変化します。6℃気温が上がると空気圧は約6.7kPa高まります。したがって、タイヤの空気圧チェックは、運転によってタイヤが熱を持つ前や夏場は早朝の涼しいうちに行うようにしましょう。気温が低い時の方が空気圧を正確に測定できます。
窒素ガスは、空気に比べてタイヤの外へ抜けにくく、温度による変化も少ない為、空気圧の減少が抑えられるのが特徴です。
不活性という性質を持つ窒素ガスを充填したタイヤは、航空、鉱山、建設など厳しい環境下で効果を発揮します。
高速で走る超高性能車のハンドリングにはわずかな空気圧の変化が影響を与えてしまいます。そこで、プロのレーシングカーにも酸素より空気圧が減りにくい窒素ガスを充填したタイヤが使用されています。
では、ここで質問です。あなたのタイヤに窒素充填は適しているのでしょうか?実は、一般的な乗用車の日常使用において、タイヤに窒素を充填する必要はありません。
タイヤに窒素ガスを入れること自体は有害ではありません。それどころか、窒素ガスは空気に比べてタイヤの外へ抜けにくく、そのため空気圧の減少が抑えられます。
しかし、タイヤのパンク、ビードやバルブなどからの空気漏れによる空気圧の低下に関しては、ほとんどの場合、空気と窒素ガスでは違いはありません。また、転がり抵抗や燃費、タイヤの経年劣化といった性能面でも、空気を入れたタイヤと比較して明らかなメリットはありません。
繰り返しになりますが、タイヤの空気圧は定期的に点検することをおすすめします。空気圧がカーメーカーが指定する車両指定空気圧より低い場合は、適正な空気圧まで空気(または窒素)を入れる必要があります。安全のために、空気圧が低すぎる、または高すぎるタイヤでは運転しないでください。過度な負荷がかかったり熱が上がったりすると、タイヤに致命的なダメージを与え、大きな怪我や事故につながるおそれがあります。
不明な点がある場合は、クルマのオーナーズマニュアルで最大負荷能力を確認してください。また、安心のためにタイヤ空気圧監視システム(TPMS)を設置することもご検討ください。